Special Edition ②
「緊張するぅ~~っ」
繋いでる手がぎゅっと握り返される。
いやいや、俺の方が緊張しっぱなしだから。
気を緩めたら、速攻でキスしそうなんだって。
ぷるんと艶めいたグロスのお陰で、“キス待ち唇”に見えるっての。
自宅玄関前に到着し、ロックを解除しようとした、その時。
「ちょっと待ってっ」
「ん?」
「深呼吸させて」
「フッ、そんな緊張しなくって大丈夫だから」
「こういうの、本当に初めてなんだもん」
胸に手を当て、何度も深呼吸してるまどか。
そんな仕草一つとってもめっちゃ可愛い。
「もういい?」
「はい、お願いします!」
暗証番号を入力し、玄関ドアを開ける。
「ただいま~」
「おかえり~~~」
リビングの方から母親の声が聞こえて来た。
ブーツを脱いでいると、パタパタとスリッパ音を響かせながら母親が走って来た。
「いらっしゃい。廉の母です。息子がいつもお世話になってます」
「初めまして、小森まどかと申します。今日はお招き頂き、ありがとうございます」
「どうぞ、上がって~」
「お邪魔します」
母親、俺、まどかの順でリビングへと。
リビングに入ると、父親が出迎える。
威圧感ハンパねぇな、マジで。
「ようこそ、いらっしゃい」
「お邪魔してます。初めまして、小森まどかと申します。お口に合うか分かりませんが、宜しければ……日持ちする物なので、オーストラリアにでも」
「わぁ、こんなにたくさん。気を遣わせてしまって申し訳ないわ。ご両親にも宜しくお伝え下さい」
「……はい」
「立ち話もなんだから、座って」
「……失礼します」
俺に視線で助けを求めて来るまどかをソファに案内する。