Special Edition ②


「えぇ~っ?!うちの廉が?冗談じゃなくて?」
「あ、はい。電車で痴漢から守ってくれた時から始まって…――…」

“廉はいつも不機嫌で、とっつき難いでしょ?”とお母様に言われ、“いつも凄い優しいです”と返したら、驚愕された。
そして、“どこが?どんな風に?”と、次から次へと質問攻めに遭い、今に至る。

彼との馴れ初めもそうだが、最近ではクラスでも少しずつ馴染めてる感じの話をして。
離れている間の出来事をたくさん伝えたら、ご両親揃って満面の笑み。

「この子は昔から凄く何事にも冷めてて。愛想のいいお兄ちゃんとは違って、腹の内が読めない子だったのに。本当にまどかちゃんのお陰なのね~」
「とんでもないです。……私の方がいつも励まされてて」

彼の鋭い目元は父親似のようだ。
パッと見、威圧感のある風格だが、笑うと色気があって。
そんなところが凄く似ていて、笑みが零れてしまう。

「もうそろそろいい?デートの時間が無くなるんだけど」
「あら、もうそんな時間?」
「母さん」
「あ、そうだった!」

お父様がお母様に合図を送ると、お母様がダイニングテーブルの上から小さな紙袋を持って来た。

「17歳のお誕生日おめでとう。これは私達からのプレゼントなの。大したものじゃないんだけど、よかったら受け取って?」
「え、……すみません、お気遣い頂き」
「本当に大したものじゃないのよ」
「ありがとうございます」
「次はGWに帰って来るから、その時に食事でも、ね?」
「……はい」
「じゃあ、行って来る」
「気を付けてね、いってらっしゃい」
「まどかちゃん、またね」
「はい、失礼します。お邪魔しました」

深々とご両親にお辞儀をすると、すかさずぎゅっと手が掴まれた。

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