Special Edition ②
「話長ぇーよ」
「えぇ~そんなこと無いよっ!うちの母親の方がもっと酷かったって」
「普段はあんなにべらべら喋る人じゃねぇーのに」
「そうなの?」
「ん」
予約したというお店に向かう道中。
彼の機嫌がすこぶる悪いようです。
「すっごい緊張したけど、反対されなくてよかった」
「は?」
「……?」
「するわけないじゃん」
「え?」
「ってか、反対なんてさせねーし」
「っ……」
「500満点の彼女のどこに反対するとこがあんの?」
「っっっ」
「けど、自分らの息子の彼女が見れて、安心したんじゃねーの?」
「……うん」
「昨日の夜なんて、すっげぇしつこいくらい質問攻めに遭ったから、俺」
「そうなの?」
「ん。2日に出国するって聞いて、慌てて彼女がいるって昨日の朝話したから」
「そうだったんだ」
「だから、ごめんな。急な予定変更で」
「ううん、私は全然平気だよ。お忙しいご両親の貴重な時間を取らせちゃって申し訳ないくらいなのに」
「とにもかくにも、会ってくれて、ありがとな」
「……こちらこそ、会わせてくれて、ありがとうね」
誕生日の今日は4月1日。
幼い時から、エイプリルフールという習慣は何となく分かっていて。
自分の誕生日なのに、保育園で皆が祝ってくれるのも心のどこかで嘘なのかな?とか、疑う癖がついてしまって。
だから、誕生日に友達を自宅に呼ぶのも勇気が無くて言えなかった。
昨日、廉から“急で申し訳ないんだけど、明日、両親が会いたいって言ってるんだけど、大丈夫?”と言われた時も、一瞬本当なのか嘘なのか、それすら疑ってしまった。