Special Edition ②

「うわぁ!凄く可愛いっ!」

黒地にラインストーンとビジューがあしらわれたヘアクリップ。
“ストレートでロングヘアの子”と昨日質問された時に答えたんだった。
あの後、母親が買い物に出たから、たぶんこれを買って来たんだろうけど。

「次のデートの時にして来て」
「うん」

よし、次のデートの約束も取り付けた。
彼女から“逢いたい”と言われたことがない。
いつも俺から次逢う約束を取り付けてて、学校がある時は当たり前のように登下校一緒だけど、長期休暇に入った途端、彼女ロス病に陥る。
まどかは、俺に毎日逢わなくても平気なんだろうな。
俺はこんな風にずっと見ていたいのに。

「そんなに見られると、恥ずかしいよっ」
「いいじゃん、彼氏なんだから」
「っっっ」

付き合い始めて1か月半。
やっと最近この距離感も慣れて来た。
とはいえ、今日は可愛すぎて目が蕩けて腐りそうだけど。



浅草駅に到着した2人。
多くの外国人と肩を並べるように歩く。

「少し腹ごなしに歩こうか」
「うん」

浅草は2度目だというまどか。
俺は祖母の家が近くにあり、幼い頃はよく来ていた。

仲見世、新仲見世通りをゆっくり散策して、外国人の観光客に写真を撮ってくれと何度か頼まれながら、まどかとのデートを堪能する。

「まどか、そろそろ時間」
「はぁ~い」

ハンドメイドが趣味というか、プロの域のまどかが、切子体験がしたいという願いを叶える為にお店へと。
予約しておいた時間少し前に店に着くと、店舗部分にはたくさんの観光客がいた。

「凄いっ、本格的だね」
「ん、だな」

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