Special Edition ②

長瀬が“もう少しオス化してもいいよ”と言ってたよな。
男の俺が考えるオス化とまどかや長瀬が思うオス化は同じだろうか?

「まどか」

可愛くて愛おしい彼女を腕の中に閉じ込める。
このまま家に持ち帰りたい。

「来年の今日は、もう違う進路が決まってて。その先は逢える日もぐっと少なるなると思うの」
「……ん」

来年の今日、4月1日。
俺らは高校を卒業して、新しい年度を迎えるようになる。

今日、彼女と浅草デートをした際に今戸神社を参拝した。
縁結びで有名な神社だからか、まどかは暫く手をあわせていた。

「私は卒業を機に、廉を卒業とか1ミリも考えてないからね?」
「は?……っっ~っ、何それ」
「だからっ、遠距離になろうが、長期間会えなくても……別れたくないか「当たり前だっての、っんなの」

勇気を振り絞って言ったであろうまどか。
少し涙目で頬を赤らめて上目遣い。
そんな顔されたら、今すぐ襲いたくなるっつーの。

まどかの後頭部を支えて、ラグに横たわらせる。
床ドンとは違うけれど、彼女を見下ろす。

「襲われたいの?」

密室のような部屋に二人きり。
両親もいなければ、元々姉妹すらいないまどか。
この状況が何を示してるのかくらい、分かるだろ。

「……ん」
「え?」
「……って」
「っっ」

消え入りそうな声で“襲って”と聞こえた。
俺の彼女は何事にも全力すぎるっっっ。
こういうシチュエーションですら、全力投球で果敢に攻めて来るって……。

「後悔しない?」
「……しないよっ」

真っ赤になった顔を隠すように手が添えられ、視線がふいっと逸らされた。
そんな彼女の手をそっと剥がして。

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