Special Edition ②
「じゃあ、……どうしたら、聖くんは安心できるの?」
それは永遠に無理だと思う。
婚約したって、結婚したって、一時の安心は得られたとしても。
一生の安心にはならないはず。
恋愛なんて、そんなもんだろ。
お互いに想い合ってたって、一瞬の気の緩みが思わぬ事態を招くことだってあるし。
永遠の愛を誓ったって、離婚するカップルだって多い。
だからと言って、俺らがそうなるというわけじゃないけれど。
目に見えないからこそ不安になるし。
目に見えてたって不安で仕方ない。
「それなら……」
「……ん?」
「……する?」
「何を………って、え、えっ?」
ひまりは肩紐部分に手を添え、今にも肩紐を下ろしそうな勢い。
「ちょっ、待って、……待てって」
「……どうして?嫌なの?」
「嫌というか、……こういう流れでするのはどうかと思うから」
「別に、……私はいつでも構わないよ?」
「っ……」
そういうことは口にしちゃダメなんだって。
俺の理性が制御できなくなるだろっ!
ついさっき、やっとの思いで気持ちを落ち着かせたってのに。
本当に俺のハニーは無謀すぎるっ。
「子供出来たら?」
「……もちろん、産むよ」
「大学行けなくなるぞ?」
「…休学するっ」
「っ……」
「だって……」
「だって、何?」
ひまりは視線を泳がせ、口を噤んだ。
こういう時の彼女の言葉は破壊力が凄まじい。
それが分かってて聞くあたり、俺も相当性格が歪んでる。
「だって、幻滅されたくないし、飽きられたくもない」
「しないよ、そんなこと」
「先のことなんて、分からないじゃないっ」
「そうかもしんないけど、俺はない」
「他の女の子に夢中になるかもしれないじゃない」
「だから、無いって」