Special Edition ②
璃子さんから仕事を取り上げるだなんてできない。
仕事に一切手を抜かない姿勢に惹かれたってのもあるから。
だけど、頑張る璃子さんを手放しでは応援できるわけがない。
既に体に警告が現れてるんだから、これ以上無理はして欲しくないのに。
なのに、反対するような態度は取れない。
会社にとっても重要な人材だから、俺の独断では何も言えない。
部署が別々になって、お互い仕事が多忙で会う日が格段に減ったというのに。
璃子さんは俺に会えなくても平気なんだろうか?
そもそも、俺と璃子さんじゃ『好き』の度合いが違い過ぎる。
いつだって俺の方が好きのメーターが振り切ってるようなものだ。
「俺に飽きました?」
「……そんなことないよ」
「今、間がありましたよ?」
「だって、今何を言ったって、言い訳に聞こえるでしょ」
溜息交じりに抱きついて来た。
そうやって甘えれば、俺が何でも許すと思ってんだろうな。
「ダメだって言ったって、行く気なんでしょ?」
「……ごめんね」
「いつ行くんですか?」
「たぶん、来週末」
「あと十日しかない」
「……ごめん」
大型プロジェクトが始動してるという話は耳にしてる。
誰が、どんな案件を受け持っているかまでは知らなかったが、まさか彼女が担当者だとは。
「休みの日には帰って来ますよね?」
「連休の時は帰って来るよ」
「浮気しませんよね?」
「しないよ!ってか、悠真こそ、若い子の誘いに乗らないでよね?」
「心配なら行かなきゃいいじゃん」
「何それ。……浮気するつもりなの?」
「一カ月も放っておかれたら、浮気するかも」
「はぁ?!」