Special Edition ②
(不破視点)
「ひまり、……ひまり?」
「……んっ…」
「もうすぐ空港に着くから」
「えっ?」
12月26日、羽田空港発ロサンゼルス行 17時15分発 11時20分着の全日本スカイジェット航空(略ASJ)便。
俺の両親が用意したビジネスクラスのペアシートで約10時間の空の旅を楽しんで、そろそろ目的地へと着陸態勢に入った。
シートを元に位置に戻さないとならないから、声をかけて起こしたんだけど。
寝顔も寝起きの顔もめっちゃ可愛い。
機内が結構寒かったこともあり、毛布を掛けて寝ていた彼女は、シートを起こして毛布を畳み始めた。
「寒くなかったか?」
「うん、大丈夫。毛布2枚も掛けてたしね」
冷えて風邪引いたら洒落なんないから、CAに頼んで1枚追加して貰った。
スマホを立ち上げ、髪形を手櫛で直し始めた彼女は、俺の視線が気になるのか、『ん?』と小首を傾げた。
その顔、めちゃくちゃ可愛いんですけどっ!
黒々とした大きな瞳が俺を映して、じっと見つめる。
瞬間録画機とでも言うのか、絶対視感という特殊能力を持った彼女の瞳は、本当に魅力的で。
あの瞳に捕らわれたら、心まで奪われてしまう……それくらい魅力的。
だからこそ、俺以外の男をその瞳に映して欲しくなくて、常に彼女の視線の先にいるようにしている。
いつか、俺以外の男に釘付けになってしまうんじゃないかと……。
「ん」
「CAさんに見られちゃうよっ?」
「いいんじゃね?別に」
「でもっ……」