Special Edition ②
可愛すぎる嫉妬。
そんな風に思われてたんだと初めて知った。
俺の嫉妬心は常に剥き出しだけど。
彼女の嫉妬心はたまにしか見せてくれない。
だから、いつでも俺の方が想いが強いと思ってたのに。
『初めて』を失ってもいいと思えるほど、俺への想いを募らせてくれていることが嬉しくて。
今まで以上に大事にしなきゃという想いに駆られる。
「ひまり」
「……ん?」
「俺のこと、好き?」
「……うん、好きっ」
今はこの言葉だけで十分。
黒々とした大きな瞳に俺だけを映し続けてくれたら、それでいい。
「聖くんっ」
「ん?」
「私って、……フィアンセなの?」
「あ、……ってことにしておいた方がトラブル起きないと思って。嫌だった?」
「ううん、全然っ」
さっき会場で口走った言葉。
『Fiance』は聞き取れたみたいだ。
ひまりは嬉恥ずかしそうに手で口元を覆った。
そんな行動一つが俺の心を満たすとも知らずに。
「俺の両親が休み明けにひまりの両親に挨拶に行くみたいなんだけど」
「ふぇっ?」
「嫌?」
「……ううん、全然っ。でも、聖くんは?」
「全然、むしろ有難いくらい」
「っ……」
ひまりの顔が……、肌全体がほんのり赤らめて。
そんな些細なこと一つで、全てが集約されてる気がする。
全身で俺のことを好きなのだと証明してくれてるみたいで。
これが毎日、毎日……永遠に続いてくれたらと願う。
この先もずっと、俺だけを見つめて、俺だけを求めてくれたらと。
まだプロポーズしてないのに、先に婚約する運びになりそうだけど。
彼女を失わずに済むなら、順序が違っても我慢できる。
彼女を失う以外に怖いものなんて無いから。