Special Edition ②
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翌日、俺の母親が用意したドレスは、真っ白なシンプルなドレスで。
ふんわりとした膝丈のスカートに、シースルーのチュール状の長いスカートが上から覆われていて。
華奢で綺麗な脚が俺の視線を釘付けにする。
緩く巻かれた長い髪にあしらわれたパールの髪飾り。
首元にもパールのネックレスがあしらわれてて。
肩は露わになってるベアトップ仕様だけれど、長い髪で僅かにカモフラージュされてて。
そんな彼女の隣に立ち、彼女をエスコートするみたいに。
……まるで、新郎新婦みたいな恰好で。
「聖くんっ」
「ん?」
「何か、この服装って、意味深じゃない?」
「……そうか?」
完全に母親の魂胆だと分かる。
会場で俺らを紹介しまくってるし。
ひまりを息子の婚約者として。
まぁ、主催者の両親が先に予防線張ってくれてるから、俺らは完全に安全地帯にいられるならそれでいい。
周りがどう見ようが、気にしない。
彼女が苦痛だと思わなければ。
「何だか、婚約式?結婚式みたいでドキドキするね?」
「フフッ、そん時もヨロシク♪」
「ウフフッ、……はぁい♪」
嬉しそうにはにかみながら頷くひまり。
どういう状況なのか、本当に分かってるんだろうか?
もう後には引けないのに……。
「聖っ、ちょっとこっち来て!」
「ひまり、俺ら呼ばれてる」
「うん」
大物プロデューサーのDennyに挨拶するらしい。
日本でデビューしたと聞きつけたらしく、前から俺に目を付けていたらしい。
毎年のようにこのパーティーで歌や演奏をして来たから。
両親の紹介で挨拶をすると、隣りのひまりに視線を向けた。
母親が息子の婚約者だと紹介すると、ひまりに握手を求めて来た。