Special Edition ②
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「璃子さん」
挙式を十分後に控え、悠真が控室に現れた。
「やっぱり白いタキシード、凄く似合うね」
クラシカルな細身のタキシードがばっちり決まっていて、思わず見惚れてしまう。
こんなにも白いタキシードが似合う人なんて、そうそういないだろうから。
「俺は軽く後悔してるよ」
「え?」
悠真の思いがけぬ言葉に、思わず仰ぎ見てしまった。
「マジでこの恰好で式挙げんの?」
「……似合ってない?」
「いや、そうじゃなくて。マジで似合いすぎっ。っつーか、胸も肩も背中も何でこんなに露出してんの?俺以外の男に、璃子さんのこんな綺麗な姿、マジで見せたくねぇ」
「っっっ」
パックリと開かれたVカットの胸元と背中。
生地全体に施された繊細な刺繍は、有名デザイナーにオーダーメイドで作って貰ったもの。
肩先に僅かに残るレースショルダーからとバックのトレーン部分に至るまで総刺繍が見事で、マーメイド型のドレスを着るのはかなりの勇気が要った。
けれど、長身の彼の隣りに立つのに、一生残る写真のことも考えたら、そこはやっぱり譲れなくて。
海外モデルが着るような大胆なドレスだって分かっているけれど、一番これが着たかった。
彼の指先が背中を這う。
今日という日を一生彼の記憶に留めておけるのなら、こんな大胆なドレスを着るのも悪くない。
「悠真」
「……ん?」
肩先に埋めていた顔を持ち上げた彼。
こんな風に、他の男性に嫉妬してくれる日がずっと続くといいな。
私の方が五歳も年上だから、老いるのも五年早いと思うし。
「私を好きになってくれて、ありがとう」
「俺の方こそ、俺を選んでくれてありがとう」
彼の大きな手が、私の手をぎゅっと包み込む。
「ご新郎様、ご新婦様、そろそろ会場の方へと移動をお願い致します」
「はいっ」
「璃子さん、行こ」
「うん!」
私たちは今日、『永遠の愛』を誓う。
この手のぬくもりを決して忘れぬように。
~FIN~
「璃子さん」
挙式を十分後に控え、悠真が控室に現れた。
「やっぱり白いタキシード、凄く似合うね」
クラシカルな細身のタキシードがばっちり決まっていて、思わず見惚れてしまう。
こんなにも白いタキシードが似合う人なんて、そうそういないだろうから。
「俺は軽く後悔してるよ」
「え?」
悠真の思いがけぬ言葉に、思わず仰ぎ見てしまった。
「マジでこの恰好で式挙げんの?」
「……似合ってない?」
「いや、そうじゃなくて。マジで似合いすぎっ。っつーか、胸も肩も背中も何でこんなに露出してんの?俺以外の男に、璃子さんのこんな綺麗な姿、マジで見せたくねぇ」
「っっっ」
パックリと開かれたVカットの胸元と背中。
生地全体に施された繊細な刺繍は、有名デザイナーにオーダーメイドで作って貰ったもの。
肩先に僅かに残るレースショルダーからとバックのトレーン部分に至るまで総刺繍が見事で、マーメイド型のドレスを着るのはかなりの勇気が要った。
けれど、長身の彼の隣りに立つのに、一生残る写真のことも考えたら、そこはやっぱり譲れなくて。
海外モデルが着るような大胆なドレスだって分かっているけれど、一番これが着たかった。
彼の指先が背中を這う。
今日という日を一生彼の記憶に留めておけるのなら、こんな大胆なドレスを着るのも悪くない。
「悠真」
「……ん?」
肩先に埋めていた顔を持ち上げた彼。
こんな風に、他の男性に嫉妬してくれる日がずっと続くといいな。
私の方が五歳も年上だから、老いるのも五年早いと思うし。
「私を好きになってくれて、ありがとう」
「俺の方こそ、俺を選んでくれてありがとう」
彼の大きな手が、私の手をぎゅっと包み込む。
「ご新郎様、ご新婦様、そろそろ会場の方へと移動をお願い致します」
「はいっ」
「璃子さん、行こ」
「うん!」
私たちは今日、『永遠の愛』を誓う。
この手のぬくもりを決して忘れぬように。
~FIN~