Special Edition ②
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「あら~~、とうとうバレちゃったのねぇ~」
「彩葉も何とか言え」
「えっ?」

 何とか言えと言われても……。
 私がどうこう言って、素直に『そうよね』と納得するようなお義母様じゃないわよ。

 昨夜インターナショナルスクールの話を郁から聞かされ、翌日、仕事終わりに郁と合流し、郁の実家を訪れたのだが。

「もう、あれほど漏らすなと箝口令敷いといたのに~~」

 ぷくっと頬を膨らませたお義母様は、援護射撃を頼もうとお義父様の腕を軽く叩く。

「櫂はお袋の玩具じゃないんだからな」
「何よ、その言いぐさ。初孫なんだし、うちの跡取りなんだから、情操教育は早いに越したことないじゃない」
「だから~、俺ら両親が健在なんだから、放っておいて欲しいって何度も言ってんだろっ」
「選択肢を増やしてあげてるだけじゃない」
「だから、それが大きなお世話だって言ってんだろっ」
「まーまーまー、二人とも落ち着いて」

 我の強い二人がガチンコ勝負とあって、さすがのお義父様も呆れ気味。

「彩葉さんの考えを聞こうじゃないか」

 えええぇ~~、まさか丸投げじゃないですよね?
 一斉に三人の視線が彩葉に突き刺さる。

「わ、私は……。今のままでも十分だと思ってます。息子自体も毎日楽しんで通ってますし、別の園に入れ替えなどしなくても」
「甘いわ!」
「へ?」
「専属のベビーシッターも雇わず、家庭教師も断って、その上、保育園に就学までだなんて。郁みたいに偏屈王になったらどうするの?」

 ええええぇぇぇ~~~、それ、母親が言う?
 あなたが育てたんじゃないんですか?
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