Special Edition ②
「俺はちゃんと結果を残してるだろ。勉強も手を抜いたことないし、会社の業績だって右肩上がりにしてると思うが?」
「そういう上から目線の頭ごなしで説き伏せるみたいに圧をかけるのがよくないっていつも言ってるのよ!」
矢継ぎ早に繰り出される会話。
二人ともヒートアップしてて、譲る気は全くなさそうだ。
「親の背中見て育ったんだから、誰かさんに似て育つのは当たり前だろ」
「……ちょっと、言わせておけば」
「はい、そこまで!彩葉さんが子供を連れて『実家に帰る』と言ったらどうするんだ。いい加減にしなさい」
シャーッと逆毛を立てているお義母様と、ガルルルルッと今にも飛びかかりそうな郁さん。
お義父様がやれやれといった表情で、お茶のおかわりを使用人さんに指示を出す。
慣れたとはいえ、毎度この光景には驚かされる。
初めて見た時はあまりにも驚いて、手にしていた紅茶を零したっけ。
「彩葉さん、本当に見苦しいところを見せてすまないね」
「……いえ」
優雅に緑茶を口に運ぶお義父様はさすがだわ。
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「どうするつもりなの?」
自宅マンションに帰宅した二人は、既に就寝している息子の寝顔を見てから、リビングで話し合うことに。
「どうもこうも、折衷案出すしかないだろ」
「結論を今週中に出すって言ってたけど、間に合うの?このところ忙しいみたいだけど」
「忙しいは理由にならない」
そうだった。
この人は妥協という言葉を知らない。
「先に寝てて」
「っ……。出禁を解除した覚えはありませんけど」
「ッ?!」