Special Edition ②


「なるほどな。そこからなら、手が付けやすい」

 入浴を済ませた私たちは、お互いにベッドに腰掛け、櫂の園問題を話し合っている。

 彩葉は、第3ターミナル内にプレインターナショナルスクールを設けるのはどうかと提案したのだ。

 羽田空港には第1ターミナル、第2ターミナルにそれぞれ保育園があり、現在第3ターミナル内に保育園はない。
 国際線ということもあり、海外の方が多く利用するというのも理由の一つ。

 語学が堪能なスタッフが多く勤務しているため、子供にも早い段階から語学を学ばせたい親はいるはず。
 トランジットで滞在するファミリー向けに、一時預かりというのも可能になれば、需要はもっと拡大するだろう。

 お義母様はマンションの2階を幼稚部、3階を初等部にするつもりらしいが、こどもには園庭も必要。
 グローバル化や多様な教育をと考えたら、それぞれに個別に教室が必要になる。

「議題がそれるかもしれませんが、お義母様がご支援下さるなら、白星会(彩葉が勤務している医科大学)の系列に、親元を離れて寮生活しながら療養している子たちが多くいます。そういった方向性に目を向けて下さると嬉しいのですが」
「あぁ、前に言ってたな」
「それと職場のすぐ傍に幾つか保育園がありますが、常に満員状態で空き待ち状態なんです。なので、医大の中に職員専用の保育園を作って頂けたら凄く有難いです」
「それならすぐに取りかかれそうだな」
「櫂に愛情を注いで下さるのは嬉しいですが、過保護すぎても櫂のためになりませんし、そういうことが分かる歳になって来ましたから」
「……そうだな」
< 238 / 242 >

この作品をシェア

pagetop