Special Edition ②
空港内に園をつくり、ASJの息子が通っているとなれば、太鼓判が押されたようなもの。
何より、出社と同時に櫂を園に預け、夕方には園に迎えに行くように退社せざるを得ない環境をつくれば、少しは彼の仕事量が軽減されるはず。
眼窩腫瘍は悪性でなければ再発のリスクもだいぶ低くなるが、それでも絶対にないとは言い切れない。
毎日のように目を酷使して、肉体的に精神的にも疲労が重なったら、また不調をきたすだろう。
それだけが一番心配なのに。
郁さんは経営者の一人だからと、自らハードルを上げて職務をこなす。
根っからの生真面目さというか、ストイックな性格が染みついている。
私がどうこういったところで、直ぐに仕事量をセーブするような人じゃない。
まだ子供が小さいということもあって、まだまだ健康でいて貰わないと困るから。
こうして寝室で会話するのもその一つ。
リビングで話し合いをしたら、会話終了後に書斎に籠ったり、リビングで仕事を始めてしまう。
本当に時間さえあれば、いつだって仕事が最優先なのは変わらない。
だから彼に、そんな隙すら与えぬように。
私は彼に少しでも早く就寝して貰えるようにと気を遣う。
0時過ぎ。
「もう休まれますよね?」
「……そうだな」
櫂は家政婦の桜井さんがみてくれていて、こういう時は本当に助かっている。
まだちょっと納得がいっていないという顔をしている彼を誘うように、ベッドの中から熱い視線を送る。
こうでもしなきゃ、彼はベッドに入って来ない。
「何だ、お願いごとでもあるのか?」