Special Edition ②
まんざらでもない顔で彩葉の顔を覗き込んで来た。
「寝ないんですか?」
「寝て欲しそうな顔だな」
わざとらしく髪を撫でる彼。
横たわる私を愛おしそうに見つめ、長い髪に指を絡めながら、薄い唇の端が緩やかに持ち上がる。
「この髪をばっさり切りたいって言ったら、どう思います?」
「ん?……ショートにしたいのか?」
「ショートほどではないですけど、肩ぐらいのボブヘアにしようかと」
「別にしたいなら反対はしないが、何か心境の変化があってのことか?」
「……フフッ、どうでしょう」
「何だよ、もったいぶって。あ、まさか、准教授から教授に?」
「さすがに3年で教授にはなれませんよ」
「だよな」
櫂の園問題もなく、家庭問題でもない、他愛ない会話に気をよくしたのか。
彼はベッドの中に入ってきた。
そして暗黙の了解とばかりに、私の首の下に腕を差し込んで来て、彼との距離がぐっと近くなった。
「お義母様の件ですけど」
「……ん」
「もう1ついい提案があるんですよね」
「まだあるのか?」
「はい」
「どんな?」
「意外な方法なので、郁さんの協力も必要なんですけど」
「俺?……俺にできることなら、何でもするけど」
「本当ですか?」
「ん」
「男に二言はない?」
「は?……あぁ、ない」
珍しくしつこく聞くものだから、ちょっと困った顔をする彼。
そんな彼に抱きついて、こそっと耳打ちする。
「櫂に妹が欲しいって強請られたんです」
「っっ」