Special Edition ②
ペアシートだから、低めの壁がある程度で、手を出せば手が繋げる距離。
恥じらう彼女の手を掴んで、3時間ぶりの彼女のぬくもりを感じた。
横並びのペアシートで、通路を挟んで奥に別のペアシートがある。
ひまりが寝ている間に、お隣のペアシートのカップルは新婚なのか、何度もキスしていた。
俺は寝てるふりしてたけど、チュッチュッと何度もリップ音が響いてて。
俺だってひまりとキスしたいのに、ずっと我慢してんだからっ!とかなり苛立ちもした。
それもあと30分ほど。
早くひまりをぎゅーしたい。
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入国審査も終え、到着ロビーに着いた俺らは昼時という事もあって、軽めの食事をすることにした。
ひまりにとったら2度目の海外。
前回も同じこのジョン・F・ケネディ空港という事もあって、緊張はしてない様子。
「前回来た時は、何食べた?」
「サンドイッチ」
「機内食で似たようなもの出なかったか?」
「前回は緊張してて、殆ど食べれなかったの。気持ち悪くなったらどうしようとか考えちゃって」
「あー、なるほどな」
俺はキャリー1つ、彼女はキャリーとキャリーオンバッグ状態のを手にして。
空いてる方の手を繋いで良さそうな店を探す。
「食べたいものとかある?」
「聖くん♪」
「っ……それ、ハマってんの?」
「ウフフッ」
最近、食べたい物聞くと必ず『聖くん』と返って来る。
俺がずっと食べたい物を『ひまり』と答えてたってのもあるんだけど。