Special Edition ②

ナナ越しに時計をまじまじと見つめ、彼女からのプレゼントが何よりも嬉しかった。

「ジルっ」
「ん?」
「どこかに行くの?」
「……えっと、ナナに逢いに行こうかと思って」
「えっ?!」
「すれ違わなくて良かったよ」
「ホントだねっ」

足下にあるキャリーケースの荷物が気になったようだ。

「ナナ」
「ん?」

俺の呼びかけに顔を持ち上げたナナ。
そんな彼女の小さな唇にそっと触れるだけのキスをする。
『逢いに来てくれてありがとう』の意味を込めて。

すると、背中に回していた腕を首に巻き付け、背伸びをしながらキスのおねだりをする彼女。
そんな彼女の腰と頭を支え、ベッドにそっと横たわらせて。

「ジル、いい匂いがする」
「フフッ、さっきシャワー浴びたからな」

常に体を張った仕事をしてるから、いつも大量の汗を掻く。
だから、小まめにシャワーを浴びて、清潔な状態をキープするようにしてるんだけど。

俺のお気に入りのボディーソープの香りが好みらしく、いつもクンクンと鼻を鳴らしながら匂いを嗅がれる。
その仕草が堪らなく可愛くて。
子犬みたいでぎゅっと抱き締めたくなる。

「何でこの服チョイスしたの?」
「似合わない?」
「いや、似合ってるけど」
「けど?……何?」
「他の男に見せるな」

体のボディラインがくっきり出る仕様のニットワンピ。
俺が見る分にはいいんだけど、他の男には見せたくない。

スタイルのいいナナ。
出る所は出てるし、締まる所はキュッと締まってる。
大きな瞳と色白の肌。
目鼻立ちが整っていて、可愛いというより綺麗系。

大学時代はミスキャンパスだったらしく、ナナの親友の智子さんは『すっごくモテてた』と言っていた。

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