Special Edition ②
周りからはクールだと言われているが、本当は嫉妬深いし、結構俺様気質な部分もある。
リーダーとしての重責がある分、励ましたり褒めたり宥めすかしたりもするけれど。
基本、回りくどい言い方はしない。
口数が少ない分、口にする時は結構ズバリ言い切るタイプ。
そんな俺が、ナナにだけは言葉を選んで。
大半を言葉を押し殺して呑み込んで。
彼女の気持ちを最優先にしている。
他の誰にもそんなことをして来たことなんて一度も無いのに。
惚れた弱みなのかもしれないけれど。
ナナが可愛くて、好きすぎて堪らない。
こんなにも人を好きになったことが無くて。
寝ても覚めても体操しか頭に無かった俺が、あっさりと競技生活を終わらせてもいいと思えるほどの人。
告白したわけでもなく、恋人でもないのに。
たった7日間、毎日デートをしたというだけの単なる知人なのに。
そのたった7日間が、俺の人生を180度変えた。
*
久しぶりにぬくもりを味わい過ぎたかもしれない。
浅い呼吸を繰り返し、俺の腕の中でぐったりしている彼女を優しく抱き締める。
「痛い所ある?ちょっと強引過ぎたよな」
遠距離恋愛あるあるなんだろうけど。
久しぶりに抱いたという事もあって、ちょっと反省。
「……ジルっ」
「ん?」
「キス、……して」
「っ……、いいの?」
「……もっとぉ~」
ナナは俺のキスが好きなようで、最近いつもおねだりする。
それが何とも言えないほどに嬉しくて。
キスしながら意識を手放し寝てしまうこともしばしば。
よほど気持ちいいのか。
そんな風に彼女を満足させられるなら幾らだってする。