Special Edition ②
プロポーズはしたし、承諾も貰った。
けれど、不規則な休みだからついつい後回しにしていた。
「分かった。次の移動時にニューヨークに行こうか」
「いいの?」
「もちろん」
「ありがとっ」
「けど」
「……ん?」
「その前に」
「……ん」
「ナナのご両親に挨拶に行かないとな」
「っ……、うん。……ありがとっ」
電話では話したことあるけれど、まだ直接会ったことが無い。
行こうと思えば行けるのに、自分が『アメリカ人』という事もあって。
反対されたらどうしようと、ついつい逃げ腰になってしまって。
だけど、ナナと結婚するなら、避けて通れない道だから。
「ナナのご両親、どんな人?」
「どんなって、……普通だよ?」
「怒鳴ったりする?」
「全然っ!ジルのファンだからその点に於いては大丈夫っ」
「えっ……」
「うちの親、スポーツ好きでバレーでもサッカーでも野球でもテレビに限らず試合会場に観に行くくらい好きだし、オリンピックの期間なんて、テレビに釘付けで毎回観っ放しだから」
「………そうなんだ」
「ジルが現役の時もテレビで観てたし、ずっと逢いたいって言ってる。たぶん、逢ったら暑苦しいと思うよ……」
「好印象なら……」
「それにね?」
「ん?」
「ママが、イケメンのジルの熱狂的なファンなのっ。たぶん、ハグしてとか厚かましいと思うから、覚悟してね?」
「フフッ、ナナのママなら幾らでも」
俺がファンサービスが苦手なことを知ってるナナ。
だから、もしかして紹介することを先延ばしにしてくれたのかもしれない。