Special Edition ②

11月に俺の家にお泊りに来た際にアブナイというか、超いい雰囲気になりはした。
だけど、そこはやっぱり、ギリギリのラインで踏み止まったというか。

一瞬の気の緩みで、彼女との関係を縮めたいとは思わない。
ひまりとはこの先もずっと一緒にいたいから。
その長い月日の中で、今日は!という日が訪れたら……でいいと思ってる。

彼女にとって、初めての日だろうから。



意外と空いていたピザ屋に入った俺らは、小さめなサイズを1つずつ注文して、シェアして食べた。
チーズ好きな彼女の為に、チーズをトッピングしておいたお陰で、彼女のご機嫌がかなり良いようだ。

店を出るなり、俺の腕に腕を絡ませて来た。
かなりボリューミーな胸に埋もれてる俺の腕。
これはこれで、めっちゃ嬉しいんだけど、その反面拷問でもある的な……。

「ひまり、キャリー交換しよ」
「え、何で?」
「そっちの方が重いだろ」
「キャスター付いてるから大丈夫だよ」
「それでも」
「……ありがと」

キャリーオンバッグが時々ずれ落ちそうになって、その度に気にかけてるから。
本当なら、俺が両方持って歩きゃあいいんだろうけど。
それじゃあ、彼女がフラフラしてて危な過ぎて。

「聖くんのキャリー、めっちゃ軽いっ!」
「服は家にあるからな」
「……だよね」
「ひまり用のチェスト、用意しようか?」
「えっ?!」
「そしたら、荷物減るだろ」
「……なんか、それってどうなの?」
「何か、問題か?」

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