Special Edition ②
あまり人前ではキスしたくないんだけど。
だって、俺のキスに応えてる『女の顔』をしたナナを他の男に見せたくない。
それは、俺だけが知っていればいいことだから。
だけど、ナナが勇気を出してまで言ってくれたから、それをむげには出来ない。
ナナの後ろ首を支え、そっと唇を重ねる。
俺のライダースジャケットを掴み、キスを委ねるナナ。
啄むのも甘噛みするのも角度を変えるタイミングさえも完璧で。
そんな彼女の唇を舌先で抉じ開ける。
そこから漏れ出す声に艶気が帯び始め、腰を支える手に力が入る。
ナナ越しのケントと視線が絡み合いながらも、ナナの八重歯を舌先で舐め上げる。
体をビクッと強張らせ、『んっ…』と色気を滲ませた声を漏らすナナ。
彼女をこんな風に酔わせるのは俺以外にいないと知らしめるように……。
腰を支えている手に重みを感じて、唇をゆっくりと離す。
「やり過ぎたか?」
恍惚の表情を浮かべるナナは、背伸びをして俺の首に腕を巻き付けて……。
「ここじゃなきゃ、もっとして欲しいのにっ」
「フッ、どこでも構わないだろ」
「んっ……ッ…」
俺の耳元に嬉しい悲鳴を漏らしたナナ。
そんな彼女の声に応えるように、再び唇を奪う。
ケントが『完敗』というような表情を浮かべ、その場を後にするのを視線の先で捉えながら……。
ナナに近づく男には容赦しない。
ナナが優しく声をかけるかもしれないが、俺がいることを知ってて近づく奴なら猶更手加減などするものか。
ナナの笑顔も涙も声も体も、もちろん心も。
俺だけのものだから―――。
~FIN~