Special Edition ②
『う~ん』と首を傾げてる彼女。
少しずつ距離を縮めるように、すり込む俺。
俺の両親なんて『婚約』を機に、自宅の空き部屋にひまりの部屋を作ると言い出してるし。
そう遠くないうちに、改修工事が始まるんじゃないかと気が気でない。
空港に迎えに来た親の車で自宅に到着。
ひまりは両親から預かって来たとお土産をテーブルに並べ始めた。
手ぶらでいいのに……。
「ひまりちゃん、家族なんだから、気を遣わなくていいんだからね?」
「えっ……?」
出たよ~。
超やり手な営業マンのテク。
こうやって親しみと安心感を与え、数多くのハリウッドスターを落として来た。
まぁ、ひまりのことは本当に気に入ってるみたいだから、変な下心はないと思うけど。
「聖、ひまりちゃん、一段と色っぽくなったじゃない」
「変な目で見んな」
「あんた、手出したんじゃないでしょうね」
「まだだって、……って、何言わせてんだよっ!」
母親のくせに、おかしなこと言いやがる。
ひまりに聞こえないように耳打ちしてくるあたり、何考えてんだか。
常識ある親なら、そこは厳しくデッドライン張るもんじゃねぇの?
母親が無事に到着したとひまりの両親に電話をかけ始めた。
ひまりに交替して、何やら話してる。
俺はひまりにジェスチャーして『荷物を2階に運んどくな?』と合図した。
4か月ぶりの自宅。
何一つ変わってないのに、気持ちは全く違う。
ひまりがいるのといないの違いというか。
4か月前もいるにはいたんだけど。
何て言うか、状況がだいぶ違ってるというか。
今回の帰省は、親公認の里帰りみたいなものだから。
なんか、新婚旅行から帰って来た時みたいな……?