Special Edition ②
八箇所目はバチカン市国、世界最小の国だけど、カトリック教の総本山。
さすが総本山だけあって、ミケランジェロやブラマンテといった宗教的芸術が至る所に点在している。
観光するだけでも十分な思い出になるのに、サン・ピエトロ大聖堂と言えば、カトリックの聖地。
ガイドブックには必ずと言っていいほど載ってる有名な教会。
ベルニーニの天蓋は絶対見ておかないと後悔するとって過言じゃない。
「哲平さん」
「ん?」
「連れて来て下さって、ありがとうございます」
「えなのためなら、どこでも連れてってやる」
「っ……」
これ以上ないほどの優しい微笑みを向ける彼。
愛されてることが瞳から伝わって来る。
「ん」
差し出される手からも。
チュッと額に触れるキスからも。
世界中から聖地巡礼のような観光客が見守る中、誓いの口づけを。
刺繍とパールがあしらわれたベルトップを際立たせるようなシフォンオーガンジーのふんわりとしたボリューミーなスカート。
トレーンにもオーガンジーがふんだんに使われていて、トレーン姿の写真を何枚も撮って―――。
*
「えな」
「はい」
「今日はローマに一泊して、明日は移動に費やすけど大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「疲れてないか?」
「大丈夫です」
「気分が悪くなったりしたら、遠慮なく言え」
「はい」
彼はいつだって気にかけてくれる。
彼の方が仕事が忙しくて疲れてるだろうに。
ローマにある御影家の別宅に泊るらしい。
白と青を基調としたスタイリッシュな邸宅に到着した。