Special Edition ②



「ひまりちゃん、一緒にお風呂に入ろ♪」
「ババアッ!ひまりを独り占めすんなっ!!」
「いいじゃない、別に♪」

くそババアめっ!!
俺の気を逆撫でしやがってっ!!

ひまりの裸も下着姿も俺より先に見やがってっ、マジでムカつく。

「聖くん、行って来るね?」
「………ん」

着替えを手にして目で訴えられた。
『すぐ帰って来るからね』と。

夕食後にパーティーの話を少しして、その後に入浴する流れになったんだけど。
会話中も終始俺に挑発的な視線を向ける母親が気にはなっていた。
それが風呂のことなんだと、今理解した。

夏休みの時もそうだったが、毎日『ひまり争奪戦』を繰り広げるという、アホな母子。
だけど、ひまりが微笑ましく嬉しそうにしてるから。
なんだか、それも込みで嬉しくて。

いつだって俺は、ひまりが嬉しければそれでいいと思ってしまう。



ひまり達の後にシャワーして、タオルドライしながら冷蔵庫からミネラルウォーターを取りだすと。

「ッ?!」
「びっくりした?」
「……ん」
「えへっ」

背後からひまりが抱きついて来た。

「母さん達は?」
「お隣さんちに呼ばれたみたいで、飲みに行って来るって」
「あぁ…」

隣のボブソン一家は酒豪で、セレブやハリウッドスターにも人気の美容整形外科医の夫婦の家。
頻繁にお酒のお誘いがある。

「んじゃあ、今、家にいるのはうちら2人なんだ?」
「……うん」
「フッ、怖くねぇの?」
「お化けが?」
「いや、俺が……?」

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