Special Edition ②
*
「ひまりちゃん、一緒にお風呂に入ろ♪」
「ババアッ!ひまりを独り占めすんなっ!!」
「いいじゃない、別に♪」
くそババアめっ!!
俺の気を逆撫でしやがってっ!!
ひまりの裸も下着姿も俺より先に見やがってっ、マジでムカつく。
「聖くん、行って来るね?」
「………ん」
着替えを手にして目で訴えられた。
『すぐ帰って来るからね』と。
夕食後にパーティーの話を少しして、その後に入浴する流れになったんだけど。
会話中も終始俺に挑発的な視線を向ける母親が気にはなっていた。
それが風呂のことなんだと、今理解した。
夏休みの時もそうだったが、毎日『ひまり争奪戦』を繰り広げるという、アホな母子。
だけど、ひまりが微笑ましく嬉しそうにしてるから。
なんだか、それも込みで嬉しくて。
いつだって俺は、ひまりが嬉しければそれでいいと思ってしまう。
*
ひまり達の後にシャワーして、タオルドライしながら冷蔵庫からミネラルウォーターを取りだすと。
「ッ?!」
「びっくりした?」
「……ん」
「えへっ」
背後からひまりが抱きついて来た。
「母さん達は?」
「お隣さんちに呼ばれたみたいで、飲みに行って来るって」
「あぁ…」
隣のボブソン一家は酒豪で、セレブやハリウッドスターにも人気の美容整形外科医の夫婦の家。
頻繁にお酒のお誘いがある。
「んじゃあ、今、家にいるのはうちら2人なんだ?」
「……うん」
「フッ、怖くねぇの?」
「お化けが?」
「いや、俺が……?」