Special Edition ②
挙式を終えた私達は来た道を戻る途中でとある場所で足が止まる。
「赤堀」
「はい」
護衛兼執事役の赤堀さんから何やら受け取った彼。
「えな」
「あ、はい」
彼に呼ばれて駆け寄ると、ステンレス製のプレートを手にしていた。
「それは?」
「日本でいうところの、絵馬みたいなものだ」
「絵馬」
表札のような名前が記されたそのプレートには、名前だけでなく、誓いのような言葉が記されていた。
『We loves will last for eternity.』(訳:私達の愛は永遠に…)
そのプレートを教会へと続く側道に埋め込む。
用意していたセメントのようなものを使って……。
何から何まで完璧に準備してくれていることに感激を覚える。
私は彼の為に何をしただろうか?
「おいっ、えな、どうしたッ?!」
「ぅっ……っ……」
感極まって涙が溢れて来る。
こんなにも尽くしてくれる彼に、私は応えることが出来るだろうか?
私の涙に動揺する彼を歪む視界の中で捉えていると、ビニール手袋を外した彼がそっと涙を拭ってくれる。
そして、人目も憚らず、抱き締めてくれた。
「この場でドレスを脱がしたくなるから、泣き止め」
「っ……」
「泣き止まないと、ホントに脱がすぞ」
「ッ!?」
彼は嘘が大嫌いだ。
だから、言葉は言葉の通りで。
『脱がす』と言ったら本気で脱がしそう。
必死に涙を堪えて彼を仰ぎ見た、次の瞬間。
「んっ……ッ……」
容赦なく唇が塞がれた。
しかも、スタッフが周りにいるというのに、舌まで絡ませて。
ジジッと背中のジッパーが下ろされる感覚を感じて、慌てて彼の胸を押した。
「ここ、外ですっ、哲平さんっ!」
「知ってる」
「………」