Special Edition ②

女を切らしたこと無いことも、毎日違う女を連れ歩いてることも。
下手したら、女とキスしてる所も彼女に見られてるはず。

それだけに、趣味とも言える女遊びというか、女たらしの言動を彼女は全て知っていて。

『遊び相手の女の子と、一緒にしないで』
『他の女で培った技術を私に使わないでっ!』と言われたこともある。

まぁ、当然と言えば当然だし、至極正当論なんだけど。

さすがに、完全に卒業って。
俺、今年で二十歳なんだけど。

遊び盛りだし、今が一番体力的にも時間的にも余裕の時なのに。


だけど、惚れた弱みだから、強引に奪うわけにもいかず。
だって、彼女(秋月 蘭)、付き合うのも、キスするのも、俺が初めてらしいから。

『黒い噂の女王』という不名誉で要らぬレッテルを勝手に貼られ、何より、噂にあるような援助交際してるだの、パトロンがいるだの、オヤジしか相手しないだの、一年で百人斬りだのという噂も全くのデタラメで。
実際の彼女はそこら辺にいる女子高生より清楚で、苦労して育った分、心根が優しい。

そんな彼女が、俺の家のバイトをするようになり、今年の春から俺の通う製菓製パン専門学校に入学した。

早朝から仕込みして、学校に通い、帰宅後にまた自宅の仕事を手伝って、仕事終わりに彼女を送り届けるくらいしか接点が無くて。
たまにデートはするけど、遠出をしたことも泊まりの旅行もしたことないから。
結果的にクリーンなお付き合いを維持してるんだけど……。

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