Special Edition ②
通っている専門学校に到着すると、高校の時には見なかった光景が目の前に広がる。
それは、彼女の周りに『友達』と呼べる仲間がいる事だ。
高校時代は黒い噂のせいで、友達が一人もいなく、常に孤立していた彼女。
専門学校に入学して、新たな人生をスタートさせたようだ。
「シュウ、はよ~」
「おはよ」
そんな彼女を横目に、それぞれの授業がある教室へと別れた。
俺らが通う製菓製パン専門学校は二年制で、一年時に日本料理、中華料理、西洋料理、給食、デザートなどの基礎を学び、二年時に製菓製パンのジャンルを網羅するスキルを学ぶ。
入学と同時に学び始める人ばかりだから、趣味でお菓子作りが好きだとか、実家が飲食店を経営してるとかは結構多いけど。
俺みたいに自宅がパン屋というのは結構少なくて。
だから、製菓製パンの知識と技術では誰にも負けない。
結構有名なパン屋ということもあって、講師陣の先生にも一目置かれている。
同じ高校から進学して来た同級生はいなくて。
噂で名前を聞いたことがあるとか、モテ男としての知名度で知ってる人もいるだろうけど。
過去は過去。
もう女遊びは一切してない。
だから、合コンに誘われても参加しない。
そもそも、合コンは昔からNGルールで行かない派だったけど。
最近、女を紹介してくれとよく声がかかる。
けれど、彼女との約束『女遊びは卒業する』というのを決めた時に、過去の女の連絡先を完全消去した。
もちろん、それ以降、俺のスマホに登録されてる女は彼女のみ。
同級生のグループLINEはあるにせよ、個人的なやり取りは一切拒否している。
一度緩めたら、後悔すると思って。