Special Edition ②
デートの日の朝。
「道中、事故には気を付けなさいよ?」
「分かってるって」
洗面所で髪形を整えていると、隣りで洗濯機に洗濯物を入れている母親が声を掛けて来た。
「兄貴、デート?」
「ん」
「えぇ~、今日ランちゃん見れないのかよっ、ショック~」
「人の彼女を変な目で見んな」
「いいじゃん、別に。ランちゃん嫌がってないし」
「お前が変な目で見てるって知ったら、嫌がると思うぞ」
「えぇぇ~、ランちゃんはそんな子じゃない!」
「お前に何が分かるんだよっ」
頭痛ぇ。
翔と話してると、こっちまで頭がおかしくなる。
蘭目当てで店に来る男連中も結構増えて。
翔だけでなく、世の男共の欲を満たす素材になってるのは確かだけど。
彼氏の俺でさえ、マジマジと見れないのに。
知らない奴がガン見して、話しかけるとか……マジでムカつく。
「おっ、周、まだいたのか?」
「今出るところ」
「ガソリン少なくなってたから、入れてから行けよ?」
「ん~分かってる」
親父が朝食をしに厨房から来た。
さてと、蘭を迎えに行きますか!
髪をセットし終えた俺は、自宅を後にした。
**
ピンポーン。
「はい」
「おはようございます。久峨です」
「朝からお迎え有難うね~。ちょっと待っててね?」
インターホン越しに届く蘭の母親の声。
いつ聞いても色気があって、聴き入ってしまう。
蘭も年を取ったら、あんな感じになるんだろうか?
声質が似てるから、変な想像をしてしまう。
「お待たせしました」
「おはよ」
「おはようございます」