Special Edition ②
販売ブースがある建物で色々調達して、コテージに戻った俺らは、庭に設置されてるグリルでBBQセットを焼き始める。
本当は泊まりで来たかったんだけど、さすがに許可が出そうにないというか。
うちの親はたぶん『責任取れよ』的な感じで承諾しそうだけど。
蘭の母親は一人娘の泊まりの許可を出してくれるか、正直分からない。
まだ未成年ということもあるし。
これまでの印象を悪くするもの嫌だから。
そもそも、本人の蘭から許可が出なそうだもん。
だから、今回は日帰りということにしてある。
十時過ぎに到着した俺らは、少し早めの昼食を摂って、内庭にあるスイングチェアに座り、のんびりと過ごす。
「なんか、いいなぁ、こういうの」
「そうですね~。時間がゆっくり流れてる感じに錯覚しますよね」
流れる雲を眺めながら、施設の至る所に設置してるスピーカーから音楽が流れて来る。
避暑地ということもあって木々に囲まれ、日影も多く、心地いい風が肌を撫でる。
「あ、そうだ!」
「……ん?」
彼女は何かを思い出したみたいで、部屋の中へと駆けて行った。
そして、戻って来た彼女の手には、朝手にしていた紙袋が。
俺の目の前に座り込んだ彼女は、はにかみながらそれを差し出した。
「ちょっと早いんですけど、お誕生日プレゼントです」
「は?」
「再来週の周さんのお誕生日の日、研修合宿でお祝い出来そうにないので」
「……なるほど。知ってたんだ、俺の誕生日」
「パートさん達が話してるのを聞いたので」
「あー、うん」