孤独を生きる君へ
これだけきれいだとそりゃあ人気なだけある。メニューがどんなものかは知らないけれど、真穂がおいしいってお母さんに熱弁していた気がする。

男の人についていくと、店の奥の、いわゆる裏側に連れてこられた。

「飯田光大といいます。大学一年のね。名前聞いても……」

語尾を濁していくので息を吸ってから口を開いた。

「高二の篠原、真希です。よろしくお願いします」

お互いに「お願いします」と会釈をしていると目が合ってしまって、慌てて逸らした。

飯田さんが分厚い紙の束を持ってきて、軽く説明をしていく。

時々、「はい」「わかりました」と相槌を打ちながら聞いているとだんだん日が暮れていって、その日はこれでお開きとなった。

一週間分みっちりと予定を入れてもらって、飯田さんに少しは休めと強制的に休みを作る羽目になり、土曜日の午後だけは空けるようにしておいた。

これで暇が減ると思うと幸福感で満たされる。

ほっとしながら帰路についた。
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