孤独を生きる君へ
うつむきがちに視線を漂わせて机といすの向きを戻し、ごみ箱にごみを戻しておく。

くしゃくしゃに丸められたプリントのごみは串木野さんの取り巻きの小テストだった。十点中三点。この小テストは比較的簡単だったというのに。ちなみに私は満点の十点だった。

人間関係はダメダメでも、勉強に関してはそれなりのできだと思っている。

ふぅ、と息をついて席に座り、男女から囲まれて楽しそうにする國松くんに目をやった。

もちろん彼と目が合うこともなければ、彼の視界に入ることすらない。

世界が違うとこんなにも虚しくなる。なんにもなくなって、心が空っぽになって、この世界を生きるのは私ただひとりなんだと実感する。

悲しさもあるけれど、それが現実というものだ。

私は確かに國松くんが好きだけど、現実の國松くんに私の存在はないだろう。

自分から不敵に笑って、天を仰いで自嘲して、目を陰らせて口角を上げて机に目を落とした。入ってきたのは『死ね』などの力強い文字。
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