アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
 ちょっとしたハプニングがあったけれど、お目当てのメンズブランドショップの店舗に着いた。ここのショップは、大都のイメージからすると少し大人しめのデザインだが、普段使いには良さそう。シンプルイズベストだ。
 なにせ、今日は大都へのプレゼントにする洋服を合わせるのに最適な人が私の隣にいるから洋服選びに気合が入る。
 目についた白のサマーセーターを早速、北川さんの背中に合わせた。

「北川さんは、何を着ても似合いそう」

「そうかな? 普段は、あんまり派手なのは着ないんだ。無地の物ばっかりで、無地だと合わせるの楽だから」

 シルバートーンの髪に、彫りの深い華やかな顔立ちは、シンプルな服の方が上品に着こなせるのだろう。

「そうですね。モノトーンカラーがしっくりきます。いま合わせている白のサマーセーターもイイ感じです」

「それを言うなら大都さんの方が、何を着ても似合うと思う。派手な服とかも上手く着こなせそう」

「そうですね。何を買おうか迷っちゃいます」
 
 と返事をしたものの、「部屋では裸族なんですよ」と心の中でつぶやく。

 でも、洋服を買うのはテンションが上がる。目に入る物みんな欲しくなってしまう。ハーフスリーブのカラーシャツもこれからの季節は、そのまま着てもTシャツの上に羽織ってもよさそう。
 麻が入ったカーゴパンツや、イージーパンツ、インナー用にTシャツなど、ちょっと買いすぎ?って思ったけれど、どれもこれも大都に似合いそうで、買いたい欲が止まらない。
 だいぶ多くなってしまったので、上下一組分だけ持ち帰りにしてもらって、後は自宅ㇸ配送を頼んだ。

「ずいぶん買ったね。その荷物、預かるよ」

私はフフッと笑い、差し出された手に持ち帰りにしてもらった服が入っているショップバックを預けた。


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