アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
誤解です
私たちを乗せたタクシーは、流れる光の中を走り抜け、見慣れた景色にたどり着く。
マンションのエントランス近くで、「ここで、ひとり降ります」と運転手さんに声を掛けると、タクシーが停車して、後部座席のドアが開く。
すると、エントランスの花壇に座る黒い人影が、待ちかねたように、ゆらりと立ち上がった。
私には、その男の正体が直ぐにわかった。
「……北川さん、あの男。私に声をかけた記者です」
開いたドアの先、マンションのエントランスに立つ男へ訝し気に視線を移す。男の様子を確認した北川さんは、外していたマスクをつけ、深く帽子を被る。
「僕も降りよう」
タクシーの清算を済ませ、ふたり並んで降り立つと、口元をニヤリと歪ませた男がお構いなしにカメラを向け、シャッターを切った。
カシャカシャとカメラが不快な音を立てる。
そして、カメラから顔を上げた男は、満足気にうなずく。
「待っていましたよ。一緒にご帰還なら話しが早いや」
タバコ臭い息を吐く男を私は睨みつけた。
そんな私を記者から隠すように大都に扮した北川さんが抱き寄せ、低い声で警告を促す。
「いったいどこの出版社? 彼女、一般人なのにつき纏わないでくれます?」
「週刊ScoopOneの茂木です。BACKSTAGEのHIROTOさんですよね」
「人違いです。勇み足は後で後悔につながりますよ」
マンションのエントランス近くで、「ここで、ひとり降ります」と運転手さんに声を掛けると、タクシーが停車して、後部座席のドアが開く。
すると、エントランスの花壇に座る黒い人影が、待ちかねたように、ゆらりと立ち上がった。
私には、その男の正体が直ぐにわかった。
「……北川さん、あの男。私に声をかけた記者です」
開いたドアの先、マンションのエントランスに立つ男へ訝し気に視線を移す。男の様子を確認した北川さんは、外していたマスクをつけ、深く帽子を被る。
「僕も降りよう」
タクシーの清算を済ませ、ふたり並んで降り立つと、口元をニヤリと歪ませた男がお構いなしにカメラを向け、シャッターを切った。
カシャカシャとカメラが不快な音を立てる。
そして、カメラから顔を上げた男は、満足気にうなずく。
「待っていましたよ。一緒にご帰還なら話しが早いや」
タバコ臭い息を吐く男を私は睨みつけた。
そんな私を記者から隠すように大都に扮した北川さんが抱き寄せ、低い声で警告を促す。
「いったいどこの出版社? 彼女、一般人なのにつき纏わないでくれます?」
「週刊ScoopOneの茂木です。BACKSTAGEのHIROTOさんですよね」
「人違いです。勇み足は後で後悔につながりますよ」