アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
マンションのエントランスを照らす外灯。時折差し込むヘッドライトの光では、深く帽子を被り、黒いマスクをした北川さんの表情はわからない。けれど、声のトーンから怒りが伝わってくる。
茂木と名乗った記者は、その様子を気にするでもなく、ニヤリと口元を緩ませる。
「今日の夕方、事務所の車でTV局を出てから、六本木にある複合施設で横に居る女性と落ち合ったでしょう。この目で見ていたんで、間違いないんですよ」
自信満々の様子で茂木は語り、意気揚々と肩を揺らす。
TV局で出待ちをして、HIROTOの扮装をした北川さんを偽者だと思わずに、ここまでつけて来たのだ。
そんな茂木に対して、 北川さんは呆れたように細く息を吐き出した。
「なんと言われようとも、BACKSTAGEのHIROTOではありませんから、お引き取りください」
一貫して人違いだと主張したが、茂木は聞き入れそうもない。小バカにしたように肩をすくめる。
「では、今週発売の週刊ScoopOneには、BACKSTAGEのHIROTO熱愛のスクープが載りますがいいんですね。詳しい話をしてもらえないから、記事に脚色が入りますよ」
遠まわしに「取材させないなら好き勝手書くぞ」と脅してくる。
「掲載するなら確かな裏付けをしないとマズいんじゃないかな? 何度も言いますが、BACKSTAGEのHIROTOじゃありません。あまり、しつこく絡むなら警察を呼ばせてもらいます。では、失礼」
北川さんは毅然とした態度で私の肩を抱いたまま、茂木の横をすり抜け、マンションのエントランスホールへ足を進めた。
茂木と名乗った記者は、その様子を気にするでもなく、ニヤリと口元を緩ませる。
「今日の夕方、事務所の車でTV局を出てから、六本木にある複合施設で横に居る女性と落ち合ったでしょう。この目で見ていたんで、間違いないんですよ」
自信満々の様子で茂木は語り、意気揚々と肩を揺らす。
TV局で出待ちをして、HIROTOの扮装をした北川さんを偽者だと思わずに、ここまでつけて来たのだ。
そんな茂木に対して、 北川さんは呆れたように細く息を吐き出した。
「なんと言われようとも、BACKSTAGEのHIROTOではありませんから、お引き取りください」
一貫して人違いだと主張したが、茂木は聞き入れそうもない。小バカにしたように肩をすくめる。
「では、今週発売の週刊ScoopOneには、BACKSTAGEのHIROTO熱愛のスクープが載りますがいいんですね。詳しい話をしてもらえないから、記事に脚色が入りますよ」
遠まわしに「取材させないなら好き勝手書くぞ」と脅してくる。
「掲載するなら確かな裏付けをしないとマズいんじゃないかな? 何度も言いますが、BACKSTAGEのHIROTOじゃありません。あまり、しつこく絡むなら警察を呼ばせてもらいます。では、失礼」
北川さんは毅然とした態度で私の肩を抱いたまま、茂木の横をすり抜け、マンションのエントランスホールへ足を進めた。