アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
BACKSTAGEのツアーファイルチケットといえば、申し込み抽選でスゴイ倍率になったプレミアチケットだ。

「えっ⁉ 譲ってもらっていいの?」

「わたしたちとしても一緒に参戦してもらえたなら、チケットがムダにならずに済むので助かります。それに、知らない人に譲るより、知っている人とライブ楽しみたいじゃないですか」

「せっかくのチャンスなので、ぜひ参加させてもらうわ。ありがとう」

「やったぁ。オーナーもいよいよ深い沼にハマりましたね」

 松本さんと福田さんは、推し活が成功とばかりに「きゃー」と歓声をあげハイタッチをしている。
 このハイテンションについて行けるのか一抹の不安を覚えつつ、ふたりとライブ参戦することにした。
 幸い今日の服装は、ワイドパンツにカットソー、それにノーカラーのジャケットのコーディネート、そこまで浮かないだろう。
 まあ、ライブが始まってしまえば、みんなステージに夢中だから誰も気にしないはずだ。

 私は、本来の目的である飲み物を手に入れようとカウンターに向かう。
 福利厚生の一環で自由に使えるカフェマシンの横には、いろいろなカプセルが置かれている。
 いつもなら迷わずブレンドコーヒーを選ぶけど、なんとなくミルクティーにした。
 マシンにカプセルをセットするとまろやかな香りが立ちのぼる。
 さっきまで、まったく食欲が無かったのに、ライブに行くの決まったせいか、急にお腹が空いてきた。
 ライブに行くなら、しっかり食べて体力つけて、楽しまなくちゃ。

 大都の姿が見れると思うだけで心が浮足立ってくる。


 
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