アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
ふわりと吹いた風に煽られ、髪が乱れる。その髪先に正人の伸ばした手が触れた。
「付き合っていた頃は、二十歳前の学生だったし、僕も社会人成り立てで自分のことで精一杯だ。お互いが余裕のない状態だったから仕方ないさ」
そう言って、正人は寂し気に微笑み、髪先から手が離れていく。
「日本に帰って直ぐにタイミング良く由香里に会えたことで、少し期待してしまったけれど、どうやら遅すぎたみたいだ。……でも、由香里の幸せそうな顔が見れて安心した」
懐かしい瞳に見つめられ、静かに視線を外した。
乱れた髪を耳にかけながら、ゆっくり視線を戻し言葉を紡ぐ。
「そうですね。まさか、別れてから9年も経って再会するとは思わなかったので、驚きました。でも、過去のわだかまりも解けて、会えたのは良かったと思っています」
「ああ、会えて良かったよ」
宵闇の中に明星が瞬いている。
私は息を吸い込み、想いを口にした。
「先生……いえ、柏木さん。私、いま、お付き合いをしている人と幸せになるつもりです」
「そうか……。わかった。由香里がいつまでも幸せでいられるように願っているよ」
「柏木さんも、どうかお幸せに……」
「ありがとう。用事があると言っていたのに引き留めて悪かったよ。もしも、また会えたら、近況報告ぐらいしてくれるだろう⁉」
「ええ、お互い幸せ報告をしましょう」
「付き合っていた頃は、二十歳前の学生だったし、僕も社会人成り立てで自分のことで精一杯だ。お互いが余裕のない状態だったから仕方ないさ」
そう言って、正人は寂し気に微笑み、髪先から手が離れていく。
「日本に帰って直ぐにタイミング良く由香里に会えたことで、少し期待してしまったけれど、どうやら遅すぎたみたいだ。……でも、由香里の幸せそうな顔が見れて安心した」
懐かしい瞳に見つめられ、静かに視線を外した。
乱れた髪を耳にかけながら、ゆっくり視線を戻し言葉を紡ぐ。
「そうですね。まさか、別れてから9年も経って再会するとは思わなかったので、驚きました。でも、過去のわだかまりも解けて、会えたのは良かったと思っています」
「ああ、会えて良かったよ」
宵闇の中に明星が瞬いている。
私は息を吸い込み、想いを口にした。
「先生……いえ、柏木さん。私、いま、お付き合いをしている人と幸せになるつもりです」
「そうか……。わかった。由香里がいつまでも幸せでいられるように願っているよ」
「柏木さんも、どうかお幸せに……」
「ありがとう。用事があると言っていたのに引き留めて悪かったよ。もしも、また会えたら、近況報告ぐらいしてくれるだろう⁉」
「ええ、お互い幸せ報告をしましょう」