アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
「そうです。出身校や住所、氏名、電話番号、それにオーナーの場合はお店のリンクも張られますますね」

「洗いざらい晒されるってこと?」

 個人情報保護法なんて、おかまい無しの話しにゾワゾワと鳥肌が立つ。

「晒された挙句、熱狂的なファンから嫌がらせをされるのは十分有りえます」

「そう……個人的に防衛するには、大変そうね」

 握ったコブシを口元にあてた私は、この先に起こるであろうピンチに向かっての対策に頭を悩まし、眉根を寄せた。そんな難しい顔をしている私を松本さんは残念な目で見つめる。
 
「オーナーってば、夢の話しにそんな真剣にならなくてもいいじゃないですか」

「ごめんね。信じてもらえないかも知れないけれど、HIROTOとの話しは本当のことなの」

 私は、もう一度、念押しの告白をした。けれど、ふたりから生温かい視線を向けられる。

「またまたぁ。オーナーってば、意外と拗らせ系なんですね。HIROTOに沼りすぎですよ」

「まあ、仕方ないですね。それだけHIROTOが魅力的なのはわかります」

「あのね、本当の本当にHIROTOと私は付き合っているのよ」

 力説した私の訴えは、軽くいなされてしまう。

「わかってますって、夢の中でですよね。お幸せに!」

 本当のことを言っても信じてもらえない。
 そればかりか、言えば言うほど、HIROTOに恋するアラサーのイタイ妄想女確定になりつつある。

 とほほ……。
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