アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
「まあ、今日はここまでにしてあげようかな」

 私は新たな欲望に打ち勝ち、立ち上がった。

「ほら、終わったから起きて、このままじゃ風邪ひくわよ。シャワー浴びてから寝てちょうだい」

 何せリビングのラグマットの上に、大判バスタオルを敷いての施術。大都に至っては、ボクサーパンツ1枚だ。
まあ、バスタオルをかけて隠してはありますけど!(自主規制)

せっかく施術したのに血行が悪くなっては元も子もない。
 起きる様子がない大都の横に座り、肩を揺り動かす。

「ねえ、いいかげん起きて!」

覗き込んだところで、大都の瞼がパッと開き、その瞳が悪戯に笑う。
いつの間にか、手首を掴まれた私は引き倒され、大都の広い胸に抱き留められていた。

「ヤバいな。お姉さんにハマりそうだ」

 蠱惑的な言葉に一瞬、ドキッとしたけれど、冷静になって考えると
『ヤバいな。《《マッサージの上手い》》お姉さんの《《施術に》》ハマりそうだ』が全文なんだと思う。
 
 そんなことを考えていたら、大都の腕が私の背中に回り、抱き留められる。彼の広い胸から起き上がれない。
 その体制のまま、大都がフフッと笑う。
 ほど良く筋肉がついた胸板から呼吸がダイレクトに伝わってくる。

「なにしているの。ふざけていないでシャワー浴びて寝なさい。君、明日もいろいろ忙しいんでしょう。私も仕事なの」

 声を上げても、大都は笑うばかりで私を離そうとしない。

 ほんと、ムカつく!
 
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