アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!

ピンチです

時刻は午後5時になった。関東スポーツ夕刊、ネット記事の配信時間だ。
関東スポーツがスクープした過去の記事は世論を煽るような内容が多く、信ぴょう性も疑わしいものばかりだ。
 自分たちがどんな風に書かれているのか……。
 正直言って、見るのが怖い。

私は、緊張しながら目の前のパソコン画面に今日のヘッドラインを呼び出した。すると、ピックアップに『BACKSTAGE・HIROTO事務所退所の真実』という派手な煽りの見出しと私が大都に抱きかかえられている写真がUPされている。
 大都に抱きかかえられている私の目の部分には、気持ちばかりの黒い線が入っていた。けれど、知っている人が見たら私だとわかるだろう。

 こんな写真がネットに配信されて、不特定多数の人に見られると思うと、気持ちが重たくなる。
 早くなる鼓動を抑えるように息を吐き出し、スクロールして記事を読み始めた。

『人気絶頂のBACKSTAGEリードダンサーのHIROTOが、所属事務所との契約更新をしないとの発表に衝撃を受けたファンは多いだろう。表向きの理由は、家族との約束で当初より2年の活動期間だったと発表されていた。しかし事実は異なり、年上の女性実業家Oさんとの熱愛によって、今後のHIROTOの活動に事務所が懸念を示し契約更新をしなかったという。HIROTOには、一刻も早く目を覚まし、活動継続を望む声が関係者より多く寄せられている』

 ここまで読んで、マウスを握る手のひらがジットリと汗をかいている。
 ふぅっと、ため息を吐き、天井を仰いだ。

「覚悟していたけど、サイアク」

 すると、短いノック音と共にドアが開き、福田さんが飛び込んで来た。

「オーナー大変です。クレームの電話が鳴りやみません」

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