アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
 私には私のルールがある。

 特定の男が居ないときは、ワンナイトラブもやぶさかではない。
けれど、それは、後腐れがないモノに限る。
 後腐れがないとは、物事の終った後に面倒なこと、煩雑なことが残らずに済み、その場限りの関係で済む、といった意味だ。

 だから、友人の夫や彼氏、または身内などには手を出さない。
 ましてや、自分の(元)義弟など以ての外だ。

 そのときは楽しくても、後日顔を合わせる気まずさや関係性のゴタゴタに神経をすり減らすのは絶対に嫌。
 キレイな瞳で見つめられても、甘い声で囁かれも、リクスのある遊びをしようとは思えない。

 私は大都の胸に抱かれたまま、大きなため息を吐く。

「あのさ、君が私のことを気に入るのは勝手だけれど、私はつい最近まで学生服を着ていたような子は対象外だし、今回、君を私の家で預かるのだって、母さんに押し付けられて仕方なくなの。おふざけには付き合ったけど、それ以上の何かを私に期待しないで。応えられないから、手を放してくれる?」

 大都の手がゆるりと離れ、私は起き上がろうとした。
 すると、再び大都の手が私の手首を掴み引き留める。

「なっ⁉」

 驚きの声を上げると、大都のアーモンドアイが柔らかなカーブを描く。

「俺……本気になってもいい?」


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