アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
 誌面を飾るための撮影が始まると、和やかだった空気が張りつめたモノに変わる。
 シャッター音のたびにポージングをとるHIROTO。鋭い視線や醸し出す雰囲気がその場を支配しているようだ。

 スターになるのには、努力はもちろん必要だが、天賦の才とでもいうのだろうか、持って生まれた魅力が不可欠だと思う。
 その魅力に満ちているHIROTO。だからこそ、ファンが彼の行く末を案じているのだ。

 撮影シーンが続き、HIROTOが白い衣装に手をかけ、肩が露わになった。とたんにHIROTOの体にモザイクがかかる。

『みなさん、撮影の続きを見たいでしょうが、地上波でお見せできるのは、ここまでですね。残念!』

『ちなみに、あれって、どこまで脱いだんですか?』

 と司会者に話しを振られて、HIROTOは意味深に微笑んだ。

『さあ、どこまででしょう』

 その笑顔を見て、私は「脱いだな……」と私はつぶやいた。
 そうだ、コイツ裸族だった。
 ここまで見たファンなら、この撮影の写真がどうなっているのか気になって、雑誌を買わずにはいられないだろう。
 これもHIROTOの戦略なのだろうか。
 
 テレビの中では、やいのやいのと撮影の話しが続いていた。そして、話が一区切りついたところで、漫才師の司会者がおもむろにHIROTOに訊ねた。

『HIROTOさんといえば、スクープされたばっかりで、みんな気になっていると思うけど、本当のところはどうなの?』


 
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