アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
「ばか……」
私は、全国放送での告白に、テレビの中のHIROTOを見つめたまま、かぁっと頬が熱くなる。
テレビからは、司会者の驚きの声が響く。
『HIROTOさん、それ……言っちゃっていいんですか⁉』
HIROTOは、いたずらっぽく微笑みながら、立てた人差し指を唇に寄せウインクをした。
『ここだけの話しですよね』
『だから全国ネットの生放送ですって!』
司会者は両手をクロスさせてバツを作り、スタッフの指示を仰ぐように視線を泳がせ、ワタワタと慌てている。
それなのに、HIROTOは口角をあげ、楽しそうだ。
『あはは、長年の片思いをじゃまする野暮な人は居ないはずです。きっと、ファンのみなさんも応援してくれると信じています』
HIROTOの言葉に、大御所漫才師がケラケラと笑いだす。
『そうそう、HIROTOさんには、初恋が実る呪いを。そして、人の恋路をじゃまするヤツには、豆腐の角に頭をぶつける呪いをかけてやりましょう』
『やばっ、呪われた!』
そう言って、HIROTOは撃ち抜かれたフリをして、胸に手をあて笑っている。
テレビの中の楽しそうな様子につられ、私も頬を緩ませる。
「豆腐の角に頭をぶつける呪いか……。お店にイタ電してくるヤツには、家具の角に足の小指をぶつける呪いも追加でかけてやる!!」
私は、ささやかな呪いのために念を送った。