アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
 シーリングライトの調光を落とした部屋の中。
 大都の鍛えあげられた体が、薄明りに浮かぶ。

「大都も疲れてるよね。ちょっと、痛いかも?」

 そっと、手を伸ばし素肌に触れる。

 広い背中。
 僧帽筋も広背筋も大好きだぁ。
 
 うつ伏せになった大都の背中に、マッサージオイルをつけた手を、嬉々として滑らす。
 背骨の両脇を通り、骨盤まで続く、脊柱起立筋を重点的にマッサージを施し始めた。
 
「ん、平気。気持ちいいよ」

 その言葉通り、リラックスした様子で、気持ちよさそうに目を瞑る大都。
 私のためにいろいろ手を尽くしてくれていた大都を癒してあげたくて、施術にも熱が入る。
 ”イタ気持ちいい”ぐらいの微妙な塩梅の力加減だ。
 
「そういえば、この部屋に来て直ぐにマッサージをしてもらったよね」

「あっ、アレね……」

 あのときは、年下の生意気な男の子をぎゃふんと言わせたくて、痛めのリンパマッサージをわざとしたのだ。
 まさか、恋人になるとは思っていなかったし、ましてや、婚約するだなんて想像もしていなかった。なので、ちょっとバツが悪い。

「あのとき、痛いって言っても止めてくれなくて、由香里がドSだった」

「あはは。だって、わざとだもの」

 思い切って、カミングアウトだ。
 すると、大都がガバッと起き上がり、私を捕まえた。

「きゃぁ!」

 大都の広い胸に抱き留められている。

「だと思った。じゃあ、仕返ししてもいい?」
 
 

 
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