アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
一人暮らしには広すぎる3LDKのタワーマンションは、コンシェルジュも常駐で高級と言われる部類に入るだろう。
引っ越して2か月、私の大切なお城なのだ。
そのお城には『男は部屋に持ち込まない』と決めている。
それなのに、ほとんど他人の男の子に部屋を貸すなんて、ありえない。
スマホを左手に、右手には潰れたビールの空き缶を握りしめ、呆然としていると、内線電話が鳴る。
それは、コンシェルジュからで『真鍋大都様がお見えになっておりますが、お通ししてよろしいでしょうか』という内容だった。
今、さっき電話を切ったばかりのタイミングで、もう来たのかと頭を抱える。
ため息をつき、コンシェルジュに通すように伝え、イライラと空き缶をゴミ箱へ放り投げた。
母の3番目の夫の連れ子『真鍋 大都』について、記憶を掘り起こす。
5年前の当時、既に一人暮らしをしていた私は、都内のラグジュアリーホテルで母の結婚の報告と顔合わせを兼ねた食事会に参加した。
真面目そうな父親は大学の教授だったと記憶している。
その横で、ずっと黙っていた中学生だか、高校生ぐらいのブレザーを着た男の子。黒い髪がぼさっと長く目元を隠し、さらにメガネをかけていて、オタクっぽい暗い感じだったような気がする。
誰がチョイスしたのかわからないけれど、この年頃の男子に懐石料理はどうなんだろう?と疑問に思ったような。おぼろげな記憶しかない。
会ったのもそれだけ、1年ちょっとで敢え無く、母の3回目の結婚生活は終わりを告げたのだ。
一瞬だけ、義理の弟だったほぼ赤の他人の面倒を、なんで押し付けられているのか、怒りが湧いてくる。
「いったい、いつまで預かればいいのよ。2、3日で出て行ってくれるのかしら? それより、今なら二十歳越えているんじゃないの? 勝手にひとりで部屋借りて暮らしていけばいいんじゃない」
引っ越して2か月、私の大切なお城なのだ。
そのお城には『男は部屋に持ち込まない』と決めている。
それなのに、ほとんど他人の男の子に部屋を貸すなんて、ありえない。
スマホを左手に、右手には潰れたビールの空き缶を握りしめ、呆然としていると、内線電話が鳴る。
それは、コンシェルジュからで『真鍋大都様がお見えになっておりますが、お通ししてよろしいでしょうか』という内容だった。
今、さっき電話を切ったばかりのタイミングで、もう来たのかと頭を抱える。
ため息をつき、コンシェルジュに通すように伝え、イライラと空き缶をゴミ箱へ放り投げた。
母の3番目の夫の連れ子『真鍋 大都』について、記憶を掘り起こす。
5年前の当時、既に一人暮らしをしていた私は、都内のラグジュアリーホテルで母の結婚の報告と顔合わせを兼ねた食事会に参加した。
真面目そうな父親は大学の教授だったと記憶している。
その横で、ずっと黙っていた中学生だか、高校生ぐらいのブレザーを着た男の子。黒い髪がぼさっと長く目元を隠し、さらにメガネをかけていて、オタクっぽい暗い感じだったような気がする。
誰がチョイスしたのかわからないけれど、この年頃の男子に懐石料理はどうなんだろう?と疑問に思ったような。おぼろげな記憶しかない。
会ったのもそれだけ、1年ちょっとで敢え無く、母の3回目の結婚生活は終わりを告げたのだ。
一瞬だけ、義理の弟だったほぼ赤の他人の面倒を、なんで押し付けられているのか、怒りが湧いてくる。
「いったい、いつまで預かればいいのよ。2、3日で出て行ってくれるのかしら? それより、今なら二十歳越えているんじゃないの? 勝手にひとりで部屋借りて暮らしていけばいいんじゃない」