アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
なまじ体に自信があるから見られることに抵抗がない。というか、むしろ見せたい、見て欲しい。
 きっと、大都はそんなタイプなのだ。

 芸能人である以上、ナルシストなのは致し方ない。
 ナルシストの語源にもなった神様のように自分をこよなく愛していなければ、大勢の前でパフォーマンスを取ることなんて出来ないだろう。

 鍛えられて、キレイに筋肉がついた体は嫌いじゃないが、出来上がった男女ならいざ知らず、にわか義理姉弟では目のやり場に困る。

「ねえ、君に部屋を用意しようと思っているの。玄関入って直ぐ右手の部屋よ」

 私の提案に大都は”おっ、意外だ!”というように目を見開いた。そして、柔らかな微笑みを浮かべる。

「ありがとう。じゃあ、使わせてもらうよ」

「ただ、昨日も言った通り、ベッドがなくて……なるべく早く用意するわ。それまでリビングのソファーで我慢してね」

「了解。それとお姉さんの連絡先教えて。何かあったとき、連絡するのにいちいち勝代さん経由って言うのも不便だからさ」

「それも、そうね」

 大都の言葉にうなずいて、スマホを取り出しメッセージアプリのIDを交換した。
 
「あっ、そうだ。部屋は使っていいけど、ルールを守って。まず、誰かを連れて来たりしないで。私、知らない人が家に入るの好きじゃないの。それと、なるべく服を着てね」

「あはは、誰も連れて来ないし、乾いたら服を着るよ。それより、御礼言わせて。昨日、マッサージをしてもらったおかげで、体が軽いんだ。ありがとう」

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