アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
「ん……」

「ごめん、起こしたかな? 俺、走りに行ってくるから、お姉さんはゆっくり寝てていいよ」

 恥ずかしさも相まって、タヌキ寝入りを決め込み寝返りを打つと、大都の大きな手が私の頭をクシャリと撫でる。
 
「外に出たついでに、朝ごはん買ってくるから、またパンでいい?」

「ん……」

 頭を撫でていた大都の手が離れ行く。そして、パタンとドアが閉じる音がした。

 布団からコッソリ顔をだし、大都が部屋の中に居ないのを確認すると、盛大なため息を吐き出した。

 ヤバい、私ったらバカじゃないの⁉
 いくら愛理の結婚の話しに落ち込んだからって、大都に甘えるなんて……。
 あー、もう、恥ずかしい。
 でも、大都は落ち込んでいた私を優しく慰めてくれたんだ。
 
 あの状況なら強引に抱くことだって出来たのに、大都は無理に抱こうとせずに、私に付き合って話をしてくれた。だから、安心して眠ることが出来た。
 
 のっそりと起き上がり、バスルームへ向かう。
 ぐっすり眠ったせいか、いつもより体が軽く感じられた。
 身に着けていたナイティを脱ぐと、大都のつけている香水、スパイシーオレンジの香りがふわりと漂う。

ずっと、抱きしめられて居たから香りが移ったんだ……。

 意識した途端、トクトクと心臓が早く動きだした。
 
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