アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
『夜、空いてる? 久しぶりに会えるかな?』

佐久良は大学時代からの友人だ。先日、大都の部屋の家具を揃えてくれた愛理とも共通の友人で、時々集まっては、あれこれ他愛もない話しをしている。

「空いているけど、愛理も来るの?」

『由香里は来てくれるのね! 愛理は都合悪いみたいで来ないって。お店のURL送るから待ってるね』

まだ、行くと言っていないのにピコンとお店のURLが貼り付けられた。
多少自分勝手なところがある佐久良の誘いに不安を感じつつも、家に帰ったら余計に大都のことを悶々と考えてしまいそうな自分も想像出来てしまい参加することにした。

「愛理、来れないんだ……」

急な誘いで都合が付かなかっただけだろう。けれど、結婚が決まって、婚約者とラブラブな時期。
女同士の飲み会より、婚約者の方が大事なのかも知れない。
愛理が薄情な子じゃないとわかっているのに、そんなことを考えてしまい自己嫌悪に陥る。

結婚願望なんて無いのに、結婚する愛理が羨ましいのか、自分の感情がわからずに上手く処理出来ない。ただ、置いていかれるような寂しさが押し寄せる。

自分で自分を抱きしめるように、ギュッと腕を組んだ。
すると、大都に抱きしめられ、温かさに包まれた感触を思い出してしまい、頭の中は再び大都で埋め尽くされていく。
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