アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
「岡本さん、女優さんみたいに綺麗ですね」
「ありがとうございます。河村さんこそ眼鏡がお似合いで、素敵ですよ」
乾杯とひと通りの挨拶が終り、先ずは社交辞令の応酬だ。
向かいに座る男性、河村さんはツツミ製薬の研究職らしい。
メタル眼鏡フレームが、タマゴ型の輪郭に似合っている。見た目は嫌いじゃないが、極上のイケメンを見慣れた今となっては、若干こじんまりして、頼り無く感じられた。
一般的な基準なら、大手製薬会社の研究職で見た目も悪くない。取っ掛かりの褒め言葉のビミョーな点を考えて、遊んでいる雰囲気じゃなくてどちらかと言えば真面目そう。結婚を前提にお付き合いするなら最適なタイプだ。
ちなみに残りのふたりは、営業職だけあって口が上手く楽しいけど、かなり遊んでるタイプと見た。
佐久良にコソッと耳打ちする。
「結婚相手を見つけたいなら、河村さんオススメだよ」
「あら、彼のこと気に入ったの? 安心して、私、藤森さんにするから 」
と、目の前に居る男性を名指しした。
いやいや、佐久良ってば、相変わらずの見る目の無さだ。
いかにも遊んでいるタイプの男は口が上手く一緒に居て楽しいのかも知れないが、それが結婚となると別だと思う。
だから、婚活しても上手くいかないんだと、言いたくなってしまう。
そして、河村さんの様子をチラリと窺うと、目が合った。
もしかして、私ってばロックオンされているの⁉