アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
弱い女じゃありません
「ごめんなさい。明日も仕事があるから帰らないといけないの」
ザワリと悪寒が走り、掴まれた腕を放してもらいたくって、自分の方へ引いた。けれど、思いのほか強く握られていて逃れられない。
「つれないこと言わないで、静かなところで飲み直そうよ」
そう言って、困惑したままの私の腕をグイっと引き、藤森さんは足を進める。私は引きずらるように歩き始めた。
面子をつぶさないように気を使ってあげていたのに、強引な手段に出るなんて!
ムカつく、ハイヒールで思いっきり踏んずけてやろうかしら⁉
そう思って、足元に視線を落とすと急に藤森さんが立ち止まり、勢い余った私はつんのめりそうになってしまった。
びっくりして顔をあげた私の目には、藤森さんの前に男が立ちはだかっているの見える。
その男は、黒いキャップを深く被り、黒いマスクをしていて素顔はわからない。革のライダースジャケットを着こんだ肩幅は広く、威嚇するように藤森さんを見下ろしていた。その男から怒気を孕んだ低い声が聞こえて来る。
「なあ、その女性、俺のだから汚い手で触んな」
「なんだと!」
藤森さんは、声を上げながら怯えたように足を引く。
「だ、か、ら、その女性俺のなの。早く放さないと痛いめに合うよ?」
と黒づくめの男は挑発的に顎をしゃくった。
ザワリと悪寒が走り、掴まれた腕を放してもらいたくって、自分の方へ引いた。けれど、思いのほか強く握られていて逃れられない。
「つれないこと言わないで、静かなところで飲み直そうよ」
そう言って、困惑したままの私の腕をグイっと引き、藤森さんは足を進める。私は引きずらるように歩き始めた。
面子をつぶさないように気を使ってあげていたのに、強引な手段に出るなんて!
ムカつく、ハイヒールで思いっきり踏んずけてやろうかしら⁉
そう思って、足元に視線を落とすと急に藤森さんが立ち止まり、勢い余った私はつんのめりそうになってしまった。
びっくりして顔をあげた私の目には、藤森さんの前に男が立ちはだかっているの見える。
その男は、黒いキャップを深く被り、黒いマスクをしていて素顔はわからない。革のライダースジャケットを着こんだ肩幅は広く、威嚇するように藤森さんを見下ろしていた。その男から怒気を孕んだ低い声が聞こえて来る。
「なあ、その女性、俺のだから汚い手で触んな」
「なんだと!」
藤森さんは、声を上げながら怯えたように足を引く。
「だ、か、ら、その女性俺のなの。早く放さないと痛いめに合うよ?」
と黒づくめの男は挑発的に顎をしゃくった。